++やくわり++ 
            

 ・・・おかしい・・・

 漆黒の闇に包まれてシンと静まる街の風景に、ゼルガディスは宿屋の窓ごしから視線を落とし呟く。

 何が、と言われると答えに困るのだが・何せ別に約束した訳でもなく

 ただ決まってあの少女はいつも夕食の後に自分の部屋を訪ねてくる。

 しかも時にはフロ上がりであったり、来るのはいいがそのまま寝てしまったり・・

  まったく、男として見られているのか謎なところだな・ 何度そう思った事か。

 それが今日はいつまでたっても顔を出さない。

 「・・別にさみしいとかそんな事じゃなくてだな・・」

 ただ仮にもセイルーンのお姫さまだしな、何かあったら悪いし・だな・・

 ぼそぼそと誰に言うでもない言い訳を呟きながら部屋を出ていくと。

 「何だ、アメリア探してるのか?」

 出たとたん長い金髪の剣士がいた、外見は美青年、頭はクラゲ。

 −なのに変な所でカンがいい

 「いや・・まあな・」

 「アメリアならリナと飲みにいったぞ」

 あっけらかんと言ってくる。そうか、飲みに・・

   ―――・・飲み・・・

 「なぁぁぁ!??の・飲みに!!??」

 「あははは、どうしたんだゼルどもってるぞ〜、オレも今から行こうと思ってたんだよな、どだ?一緒に」

 「おちついてるな!ここらへんは治安が悪くて有名なんだぞ!?・・それを女二人で行くなんて・」

 何考えてるんだ!・・いや、何も考えてないのかも・・・

   はぁぁ

 「もういい、どこの酒場だ?」  

 

 

 

 

 「お嬢ちゃん達二人だけ?どぉ?一緒に」

  本日6人目・・どこにでもいるナンパなニーチャンである。

  まぁいいか、からかいがいあるのよね〜☆ と赤い瞳にキケンな輝きをきらめかせているのは

 黙っていれば美少女、口を開けば破壊神とも崇められる(笑)リナ=インバース

 「この私に声をかけたっれことは、あなら悩みがあるんれすれ〜!?私にはわかりまう、

 さあ、正義の名の元に解決れす〜!」

 ワケのわからない事を叫び、こぶしを握りしめて目を輝かせるのはアメリア、

 これでも一国のお姫様なのですが・

 「その正義をもってしても一杯二杯ですでに酔うのね」

 「はぅ〜・それとこれとは別れす〜」

 今はお酒のせいかフラフラです。

 「つれないな〜、無視しないでよ〜」

 ナンパ君、そう言ってアメリアの肩に手を・・

 「アメリア」

 おこうとした手はアメリアに届く事なく、アメリアの肩を違う手がつかんだ。

 「ゼルガディスさぁぁん!」

    がばっ

 「ア・・アメリア、何時だと思ってるんだ、子供はもぅ寝る時間だろ」

 内心動揺しまくりの、しかしナンパ君にはガンつけて引っ込ませせたのはもちろんゼルガディス。

 「私、子供じゃないれすー」

  ぷーーー

  そんな所が子供だって言ってるんだけどな・ ふくれたお姫様に苦笑しつつも

 抱きついてきた体をしっかり(ちゃっかり?)受け止めている残酷な魔剣士さん(笑)

 「ちょっとちょっと、私らの事忘れないでくれるー?」

 「いや〜、ラブラブって言うのか?こーゆーの」

 「あらぁガウリィにしてはいい事言うぢゃない☆」

 「お・・お前ら・(///赤面)」

 水をえた魚のようにニヤニヤと楽しそうなリナ、対して紫なお顔のゼルガディス。

 どうやらリナはナンパ君よりおもしろい標的を見つけたようであります。

 「前から思ってたんだけどさぁ?そーしてるとゼルってばまるで・

   ロリコン」

 「な・何が言いたい!?どこが ロリコン なんだ!」

 完全に真紫になりつつ反論する魔剣士さん、

 でもそんなお姫さまを受け止めたままでは説得力ナシナシです。

 「なー、何かアメリア静かじゃないか?」

 わーわーぎゃーぎゃー言い争っていた二人はガウリィの疑問にハッとする。

 そういえばお姫さまの声が聞こえませんね?

 「おい、アメリア?」

 そういえば・といまだ自分の腕の中にいる少女に視線を落とす、と

 「・・すーすー・・・」

   がくっ

 「ね・寝てる?」

 「立ったまま寝てるわよ・・」

 そうです、夜に弱いお姫さまはいつの間にかお休みモードに入っていたのです。

 しかも魔剣士さんの腕の中で(笑)呆れ顔のリナがまたとたんにニヤニヤと

 「じゃあゼル、アメイアは任せたわよ」

 「送りオオカミになるなよー」

    ―そしてやっぱり魔剣士さんがお姫さまを送るのでした♪

 

+++++++++++++++++↓何となく書いたその語小話↓

 

 ・・シャラシャラ

  うみゅ〜〜、何の音でしょ〜?何かあったかいです〜

 「ん・・・・??」

  ――なんだか目線が高いです・・

 「起きたか?まったく寝るなら宿についてからにしてくれ」

 「ゼルガディスさん〜」

    ぎゅう〜〜〜

  えへへ〜、ゼルガディスさんの背中〜♪目線高かったのはおぶられてたからなんですね・・・ 

  ・・ゼルガディスさんの背中!!???

 「ひゃああああ!?ゼ・ゼルガディスさん!??」

 「うわああああ!?耳元で叫ぶな!響くだろーが!」

 「あぁぁスミマセンっ・ってそーじゃなくて〜、あ・・あのあの・・」

 「何だ?」

 耳元まで真っ赤になったお姫さまは

 「ぉ・重くないですか・・・」

 ぼそぼそと口を開く。

   むしろ軽すぎなんだが、そんなアメリアの様子におもわず口元を緩める。

 「さあ、どうかな」

 「ぶ〜、ゼルガディスさんのいぢわる」

 「だいたいこんな時間に二人だけで酒場にいって、しかもいきなり寝るやつがあるか」

 「・・う・・」

 だってきずいたら寝てたんですよ〜

 と背中から聞こえてくる声と暖かさに苦笑しながらも、ゼルガディスはもくもくと歩く。

  ――まったく、甘くなったもんだな俺も・

 そんな自覚が心をかすめるが、悪い気はしない。

 背中で一人話し続ける少女にいつのまにか振り回されている自分はむしろ、心地よい。

 「わぁ・・ゼルガディスさん見てください!満月ですよ」

 ―― ゼルガディスさん?

 話しながら、自分をおぶっている相手が黙り込んでいるのにふときずいた。

 そんな相手が気になって、その横顔を覗いてみる。

 月に照らされたその人に思わず目を奪われて

 何処かに行ってしまいそうな気がして

 振り向いてもらいたくて、思わず声をかけた。

 その人は私の声に目を細め言った。

 「ああ、そうだな」

 身を乗り出してきた少女の髪がフワリと頬をかすめる

 月よりもその香りに、

 その瞳に

 見入ってしまう。

   これは我ながら重症だな

 そしてゼルガディスは今日何度目かの苦笑をうかべ

   ずっと一緒にいてくださいね

 アメリアは満面の笑顔を返すのでした。

 

 

 


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